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葦原大介「ワールドトリガー」5巻感想‐キャラたちのこの「地に足着いてる感」が良いよね

 

ワールドトリガー 5 (ジャンプコミックス)

ワールドトリガー 5 (ジャンプコミックス)

 

待ってました第五巻!

葦原先生の前作「賢い犬リリエンタール」がものすごい好きで、毎週必死にアンケート出して、笑って泣いて、単行本は二冊ずつ買っていたクチなので、ワートリが長く続いているのがすごくうれしいです。

リリエンタールは全四巻だったので、葦原先生初めての五巻!ですね!

 

さて内容です。前巻に引き続いて、遊真と千佳のボーダー入隊当日、修と風間の模擬選から、ボーダーのランクアップ・ポイントに関する説明回、A級中学生緑川と遊真の模擬戦、そして迫る近海の大規模侵攻……と盛りだくさん!激アツですね!

私が特に気になったのは修と風間の模擬戦です。

ワールドトリガーはキャラそれぞれの「できること、できないこと」が意識してきっちり設定されている漫画だと思いますが、今巻はそれが特に表に出ていたかなと。

ボーダーの武器であるトリガーは複数種あって、それぞれの特徴、「できること、できないこと」がきっちり決まっています。で、それをボーダー隊員は複数組み合わせて使える。ある程度自由度が高くて、組み合わせも複数あるけれど、それでもやっぱり「できること、できないこと」はちゃんとある。使い手の素質によってもそれは制限されたり、広がったりします。

修はその点、トリオン量も運動能力も低めで、「できないこと」が多いキャラクターです。けれど、修はそのことを重々理解していて、代わりに「考える」ことが「できる」。その「できること」が戦闘で初めて活かされたのが今巻冒頭の風間戦だったと。

風間にボロボロに負かされていた修が、自分の「できること」をやろうとしたきっかけが「迅さんのため」だったのが良いと思います。いつも自分のためじゃなくて誰かのために動ける修らしくてとっても良い。説得力がある。こういうキャラの「らしさ」も出してくるのが葦原先生上手いんだよな~~~。

知恵と工夫で能力をカバーする「持たざる者」は物語の定番だと思いますが、葦原先生は見せ方が上手いんだよな~~~っていうのはファンのひいき目ですかね。

 

ファンのひいき目と言えば、葦原先生のキャラメイクの仕方がすっごい!と思うのもひいき目でしょうかね。

葦原先生はリリエンタールの時からそうなんですが、キャラ一人一人をきっちり作っていて、みんながみんなしっかり地に足着いて立っている感じがあって、それがすっごいな!って思うんですよね。

ひとつの家族が中心だった前作に対して、今作・ワールドトリガーは倍以上のキャラクターがいます。しかもさまざまな立場、肩書がそれぞれに付与しているわけで。

それで一人一人に個性を出すのはなかなか難しいと思うのですが、ボーダー隊員のアタッカー・ガンナー・スナイパー・オペレーターなどのポジション分けがあって、武器のトリガーにもそれぞれ違った特徴を持った種類があって、それらの組み合わせができることで個性がつけやすくなってるんですよね。

ポジションと扱うトリガーで、どういう戦い方をするキャラクターかが決まる。で、そういう戦い方をすることに説得力があるような性格付けがされている。ポジション・トリガーの組み合わせの数だけキャラクターが作れるようなもんなんですよね。

キャラメイクがしやすい設定になっている。これだけですっごいな!って思うんですが、それで魅力的なキャラを作れるっていうのは才能かなーと。

葦原先生のキャラクターって「生っぽい」んですよね。地に足着いてる感がある。みんながちゃんと家族を持っていて、メインキャラからモブまで、みんなにコミュニティが存在して、カメラの回っていないところも人が動いて生きている感がある。「生っぽい」。そこが魅力的。

これは世界観がきっちりしているからこそ、っていうのもあると思うんですが、モブにまでそういう息遣いを感じられるようにキャラを作れる人ってあんまりいないと思うんですよね。私が他にパッと思いつく漫画家さんはおがきちか先生と遊行寺先生くらいかな。(驚きの偏り)

とにかくこの「地に足着いてる感」は作家としての魅力としてすごく大きいと思うんですよ!

リリエンタールの時からそれを思っていたので、ワールドトリガーというキャラクターの多い作品でそれがわかりやすくなってるのはファンとしてものすごくうれしいです。

 

ワールドトリガーは、ボーダーという一つの組織に、その中の隊員たちに、周りの一般の市民、それから今後出て来るであろう近界民たちと、いろんな立場・グループの人たちの思惑がぐるぐる絡まりあってる作品で、今後もどんどんお互いの思惑がお互いに影響を与えていくことになると思います。

そういう作品で、キャラクターの行動や思考にある程度の説得力が期待できる、っていうのは今後作品を面白くするにあたってすごく重要かなと。

キャラクターが話を大きく動かすような行動をするときに「え、何でここでそんなことを!?」ってなっちゃったら拍子抜けですからね。

葦原先生ならそういうことはきっとない、という信頼感があります。

なので今後もながーくこの作品を読み続けられたらうれしいなって!

そういう五巻でした!全然五巻の感想になってないというツッコミはナシの方向でどうぞよろしく。

とにかくワートリは面白いんだよ~~~~!葦原先生すごいんだよ~~~~!!っていうことが言いたかっただけです。おしまい。